《真昼間大阪で自分は見た
靴磨少年のハローハローを
中華料理屋のペンキの原色を
地下鉄構内の菰かむりの髪の毛を
屋台の上の賭博を
悪臭と喧騒の累々の皮膚を》
疲れた駅からの五十丁
月ノ木橋の上でようやく満月
役場前の急坂で真正面の満月
火の見櫓も
一本杉も
まぶしくかすむ雪の満月
ポケットにラムネ玉 原は寝たか
ラムネ玉にいくもいくつもの月
鞄に千代紙 道は寝たか
千代紙に雪の花火
今夜
青年団の芝居のどよもす国民学校
窓窓明るい
国民学校
桶屋の留市は国定忠治 鍛冶屋の
太蔵は悪代官 疎開のリエは
売られる娘 寺垣内の三郎は日
光の円蔵で
昨日団長が話していったプログラム
山田に雪 芝居の幕は揚がったか
ああ
もう
竜門嶽
頂上の満月
このサイトについて
このサイトは、奈良県吉野町出身の詩人であり、編集人、装幀家、写真家としても活躍した夭折の作家池田克己(1912~1953)を顕彰し、池田克己の生家である料理旅館「扇屋」跡のはす向かいから発信するバーチャル記念室です。
戦時中の上海では日本文学者を代表するひとりとして、戦後は詩誌「日本未来派」創始者のひとりとして、池田克己は詩才と編集技術を奮い、詩壇の震源地に立っていました。
深尾須磨子、高見順、金子光晴、高橋新吉、草野心平、安西冬衛、北川冬彦、岡本潤、高村光太郎、詩壇がその早逝を惜しんだ池田克己を追う旅は、近代日本を駆け抜けた詩人たちの魂をもあざやかに甦らせます。
今日の池田克己
ニュース
「未来忌」無事終了しました!

2025年2月11日、池田克己命日記念イベント「未来忌」が終了しました。
命日の2月13日に一番近い休日、建国記念日を選んで開催したので、上市の初市、国栖奏とかさなって、吉野はにぎやかな日でした。
「未来忌」は思いつくことを全部プログラムに組込み、非常にタイトなスケジュールで進行しました。出演者の皆様、関係者の皆様に心から感謝いたします。
そして、1時から5時までの非常に長丁場のイベントながら、会場には常に8割くらいの人が入っていてくださり、お客様にも恵まれ、本当に嬉しい1日でした。
また会場には、池田家ご親族の皆様、日本未来派の皆様、奈良大学木田隆文教授がいらしてくださって、本当に、夢のようでした。
当日は2日前まで寒波の襲来、雪の心配、交通の心配にはらはらしていましたが、みんな蹴飛ばすような晴天で、池田克己が見守っていてくれる、喜んでいてくれていると確信せずにはいられませんでした。
これからまた、がんばりたいと思っています。みなさまよろしくおねがいいたします。