上海雑草原:第三番 吳淞クリーク
澄んだ青空と
縮の寄った雨雲が
重なり
サッと流れる陽あし趁って
又 翳る
夥しい帆柱が
天を剪る鋸のように
破れ帆を立てた
≪澁紙いろになり 紅いろになり≫
その隙間もる逆光のキラキラ波
畚を担ぐ苦力の掛声の中から
女や子供が埃のように顔を出す
一草もない
泥の谷間
生あたたかい穢れた奴が
無数に息を噴き 毛を生やし
ああして一つところで湧いている
≪この寂寞に晒されて ねむったく私はいる≫
ああ
どの戎克も
舳に見事な丹青を彫り
この時
まばゆい反射の泥水から
私たちの神話の友が
ひょっこり現れて
『アレヲ肯定スルンダ』と
その色 形
指した