このサイトについて

このサイトは、奈良県吉野町出身の詩人であり、編集人、装幀家、写真家としても活躍した夭折の作家池田克己(1912~1953)を顕彰し、池田克己の生家である料理旅館「扇屋」跡のはす向かいから発信するバーチャル記念室です。

戦時中の上海では日本文学者を代表するひとりとして、戦後は詩誌「日本未来派」創始者のひとりとして、池田克己は詩才と編集技術を奮い、詩壇の震源地に立っていました。

深尾須磨子、高見順、金子光晴、高橋新吉、草野心平、安西冬衛、北川冬彦、岡本潤、高村光太郎、詩壇がその早逝を惜しんだ池田克己を追う旅は、近代日本を駆け抜けた詩人たちの魂をもあざやかに甦らせます。

今日の池田克己

植村諦「鎌倉の海-池田克己葬儀の日」

激烈と、冷酷と、虚無と、感傷を抱いて
一つの星が
また空の彼方へと落ちた

君はあのとき死の断崖に立って、僕に言ったね
-人類は何て馬鹿なことばかりしているんだ。
 あゝ寂しい。人間は寂しいね。

全く寂しいね。
死ぬことを少しも考えず
痛むことも意識しようとせず
ただ生きよう、生きようと燃え立った
君の四十年
僕との三十年
荒れ狂う世紀の中の互いの泥濘の道
今僕は君の骨を抱いて立っている
池田克己!
わが愛する少年、教え子
わが青春無頼の友
詩と眞実の同行者
君はこの世紀の中を突っ切り
つまづき、倒れ、立ち上り、
いのちの限りを生きて、
生きた!

僕は君の骨を抱いてここに立っている
生とは何か
死とは何か
愛とは何か
足の遅い僕は
君の駆け去った道を
のろのろと歩いている

春早く暗い空の彼方から
とうとうとひびいてくるのは
またも荒れ出した鎌倉の海のとどろきだ

出典:植村諦著「鎮魂歌」

2024年10月05日池田克己:植村諦
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ニュース

永瀬清子生家保存会さんのホームページで紹介していただきました!

詩人・永瀬清子さんを顕彰、生家を保存活動されているNPO法人永瀬清子生家保存会さんのホームページで紹介していただき、リンクコーナーに掲載していただきました。


「清子だより」紹介ページ


リンクページ


詩集「諸国の天女」「あけがたに来る人よ」などの作者で、美智子皇太后が愛し、英訳・朗読した詩人としても知られる永瀬清子さんは、「日本未来派」の同人で、吉野町に建てられた池田克己詩碑の除幕式にも出席されていました。

永瀬清子さんの出身地である岡山県赤磐市には今も永瀬清子さんの生家がNPO法人永瀬清子生家保存会の皆様の尽力によって保存され、「紅梅忌」「永瀬清子現代詩賞」ほかイベントが行われています。

紹介ページには、「日本未来派詩集」に掲載されている永瀬清子さんが生家を思って書かれた詩「この家が好きだった」が転載されていますので、ぜひご覧下さい。

NPO法人 永瀬清子生家保存会ホームページ

2024年08月16日
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