東京:第一番

泥の上にバラックが建ったとて何になろう
焦土に花が咲いたとて何になろう
不潔な唇に紅を点じたとて何になろう
腰弱い建築や
栄養のない花弁や
垢をつくろう小娘の
いそいそしさよ 他愛なさよ 虫のよさよ

頭を転じて
只見る満目瀟瀟の瓦礫の原
全き破滅は絶景なる哉

破滅そのものの中に
永遠は不逞不逞しく横たわる
破滅そのものの中に
美は頑固に居据る

2024年07月23日|池田克己:東京