池田克己:「日本未来派」第二号より
一、とるに足りぬ人間を論評せず、但し吾人の尊重する人間に対して力めて評論を尽くしたい。
一、宗匠流の尻馬に乗らぬ。歯のうくようなことには反対。
一、仲間褒めはせぬ。歯のうくようなことには反対。
一、棺桶に片脚突っ込んだような詩や、柳暗花明的な詩は掲載しない。
一、公平を売り物にせず、着実な私見のみを談ず。
一、自分の文章をよくないなどとは言わない。
以上のようなものはどうだろう。ところがこれは僕からの案文ではない。林語堂博士草するところの「論語社同人戒案」からの抜萃である。吉村正一郎氏の訳で「支那の幽黙(ユーモア)」という本にチャンと出ている。これを今のわれわれのものとしてさし出してみても、ちっともおかしくないではないか。